特集 小児訪問看護の基本を学ぶ
養護学校への訪問看護師派遣事業―「宮城県要医療行為通学児童生徒学習支援事業」への取り組み
中嶋 妙子
1
1㈳宮城県介護協会角田訪問看護ステーション
pp.402-407
発行日 2003年5月1日
Published Date 2003/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100674
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はじめに
昭和54年からの障害児の義務教育化により,それまで学校に通学できずにいた障害のある子供たちにも,学校での学習の道が開かれた。しかし現行の学校保健法の下では学校という場に医療が介入することができず,経管栄養や導尿などの医療行為が必要なケースは保護者が実施するという形で行なうため,保護者にとっては心身ともに負担が大きかった。また子供たちも十分に学習が受けられるような状態が確保されず,課題が多かった。
平成9年から宮城県が取り組んだ「要医療行為通学児童生徒学習支援事業」に対して,宮城県看護協会が「訪問看護師派遣事業」として取り組んだことは,医療の仕組みの狭間で医療行為を展開できない分野の1つである「学校」という場において,医療を展開したという点に意義があると考える。また,本事業は,学校,医療機関,家庭,地域をトータルに連携させながら,安心して授業に取り組める環境づくりと,保護者の負担を軽減させるとともに,児童一人ひとりの健康の維持増進に寄与できたと考えられる。本稿では,事業の経緯と事例を紹介しまとめてみる。
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