連載 ドキュメント―介護アドバイザーが行く⑪
施設評価―その6:医師の役割
高口 光子
1
1介護アドバイザー、理学療法士
pp.866-869
発行日 2004年11月1日
Published Date 2004/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100576
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
老人病院のリハビリ科科長,特別養護老人ホームの介護部長を経て,介護の変革を請け負う介護アドバイザーになった著者の活動日記風レポート。
派遣されて行く先々の老人ケア施設での試行錯誤的な活動を通して,介護施設のケアシステム,介護従事者の教育・研修セミナー,介護者の意識の変革など,介護の現状を現場感覚でレポートします。
老人病院で見てきたこと
私は以前,老人病院に勤務していた。約20年前の話である。全体で2000床をこえる規模で,今思えば,典型的な利益追求型の病院だった。
当時は老人医療費自己負担額が0,定額制なども導入前で,薬や点滴を処方すればするだけ報酬が請求できたころである。「生きながらに土左衛門を作る」と言われるほど毎日多くの点滴が処方され,食事摂食量よりも多い服薬量。職員たちは「何かおかしい」と思いながらも,「仕事だから」と,指示された処方を黙々とこなしていた。医療専門職,コメディカル(当時はパラメディカルと呼ばれていた)は,医師の処方は絶対であると学校で教え込まれていたから,その処方に異議申し立てするには,それ相応の覚悟が必要だったのである。
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.