連載 花凪の人々─なりたい自分になる介護・3
1人より2人がいい
木村 美和子
1
1NPO法人在宅生活支援サービスホーム花凪
pp.696-697
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100549
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Kさんが来た
Tさんと暮らし始めて1か月経ったころ,「長期間居住するところが見つかるまで,Kさんという85歳の女性を預かってほしい」という依頼が舞い込みました。Kさんは娘さんと2人暮らしで,娘さんの在・不在にかかわらず徘徊を繰り返しており,疲れ果てるまで歩き回るため,何度も路上で倒れては交番で保護されていたとのことでした。依頼から2日後,Kさんは花凪にやってきました。
ある日,突然見知らぬ家に連れてこられて,
「のんびりしていってください」
と言われても,
「はい,そうします」
と簡単に納得できるものではありません。Kさんは初日から「うちに帰る!」の一点張り。出て行こうとするKさんをなんとか止めようとしても「おめぇなんか嫌いだ!どっか行け!!」と聞きいれてくれません。結局は一緒に手をつないで住宅街を歩き回ることになりました。毎日歩き回っていた成果か,Kさんは本当に足が丈夫で,小休止もとらずに私を引っ張るようにグイグイと前進していきます。
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