特集 介護保険の苦情相談―どんな苦情があり,どのように対応しているのか
介護保険における苦情処理―その考え方,枠組みと意義づけ
北場 勉
1
1日本社会事業大学社会福祉学部
pp.314-321
発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100504
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
介護保険法における苦情処理の考え方
2000(平成12)年4月から,介護保険の「苦情処理制度」が実施された。介護保険以前の老人福祉サービスは,市町村(=行政)が措置(=行政処分)として行なうもので,市町村か市町村から委託を受けた社会福祉法人や社会福祉協議会が提供し,苦情や不服はサービスを提供する市町村に持ち込まれていた。介護保険制度は,その制度の基本を従来の「措置」から「契約」に変えた。被保険者の資格認定,保険料の徴収,要介護認定などは,原則として,市町村(=保険者)が行なう行政処分とされたが,「介護サービス」は,利用者が都道府県知事の「指定」した介護事業者と直接に「契約」を結んで利用することとなった。
市町村(=行政)が自らサービスを提供していた従来の仕組みが大きく変わり,特に,訪問介護等の在宅サービスの提供者として,従来公的福祉では認められなかった営利企業を含む多様な事業者が参入することになった。このため,民間介護事業者が提供する介護サービスの質をどのように確保するのかという問題が提起された。
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.