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はじめに
1985年には在宅酸素療法,1990年には在宅人工呼吸療法に対し医療保険が適用されるようになり,在宅呼吸ケアが急速に発展してきた。近年,在宅医療においても「呼吸リハビリテーション」に対する関心が非常に高まっており,訪問看護の立場からも呼吸リハビリテーションの重要性は明らかである。本稿では,どのような概念のもとに呼吸リハビリテーションを行なっているのか,とくに呼吸理学療法の理論と実践方法を評価方法(assessment)もあわせて,できるだけわかりやすく具体的に解説する。
短時間で多くのassessmentを行ない,種々のケアが求められる訪問看護業務の中に,いかに呼吸リハビリテーションの「エッセンス」を取り入れられるか。また呼吸リハビリテーションは原則的にチーム医療であり,専門のスタッフが継続的に行なっていくものである。施設の差異によってチームの編制は異なると思われるが,情報を共有し,統一した見解のもとに実施する必要がある。医師,ケアマネジャーは,看護師,理学療法士,作業療法士,保健師,言語聴覚士,歯科医師,歯科衛生士などのスタッフ間の連携を保ちながら治療方針を方向付けし,プログラムを遂行する。在宅医療においては,病院などの入院患者と比較して医療従事者のかかわる時間は圧倒的に短く,日常的なケアは患者自身や家族が担うことになる。必要な場合には,介護職やボランティアなどの対応が求められるであろう。地域においては,多職種間の連携を図りながら継続的にケアを提供すること,患者教育,家族指導,栄養指導などを含めた包括的なプログラムが,より効果的に行なわれることが望ましい。訪問看護においても,呼吸理学療法が医師や理学療法士をはじめとする他のコ・メディカルと一緒に,チーム医療の一翼を担うものとして定着することを願っている。
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