特集 在宅ALS療養者ケアのコツを知る
在宅ALS患者における非侵襲的人工換気療法(NPPV)の有効性
神野 進
1
1国立療養所刀根山病院神経内科
pp.273-277
発行日 2004年4月1日
Published Date 2004/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100497
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はじめに
呼吸不全患者は常に生命が危険に晒されており,ハイリスクを負っている患者といえる。それ故その療養場所は病院に限定され,QOLの側面において種々の問題が提起されてきた。在宅での療養を望む声が高まる中,1985年に在宅酸素療法(home oxygen therapy,HOT)が,1990年に在宅人工呼吸療法(home mechanical ventilation,HMV)が健康保険適用の医療として承認された。酸素療法や人工呼吸療法に関する技術や機器開発も進歩し,現在,多くの呼吸不全患者がこれらの療法を受けながら長期間にわたり家庭療養している。
従来,HMVには気管切開を施行して,呼吸器を装着する方法(tracheal positive pressure ventilation,TPPV),すなわち侵襲的方法が一般的な方法として採用されていたが,1980年代中頃から欧州で展開され,1990年頃に本邦に導入された鼻マスクによる非侵襲的換気療法(noninvasive positive pressure ventilation,NPPV)が,今日,患者・家族のQOLを維持し導入容易な方法として普及するようになった。
本稿では,当院の経験や成績をもとに代表的な神経難病である筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis,ALS)におけるNPPVの有効性について述べる。
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