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介護保険の導入によって,居宅介護支援事業が制度化され,在宅を支えるケアサービスも多様化している。それにともない,在宅療養が困難とされてきた,医療依存度の高いケースでの訪問看護依頼が増えてきている。しかし,介護者の高齢化,新しい知識や技術の習得といった介護負担も加わり,取り巻く環境は厳しいのが現状である。
当院地域医療部でも,寝たきり老人を抱える介護者は100名以上いるが,介護者がキーパーソンでない場合や,副介護者がいない,もしくは同居していないというケースも少なくない。そういった状況に対応するために,訪問看護師は,診療の補助・訪問看護に加え,電話による相談(以後,「電話相談」と略)・電話による状況確認(看護師より利用者への電話によるフォロー)といった,電話を利用した活動も24時間行なっており,これらの活動は訪問看護のなかでも重要な役割を果たしている。
電話相談について継続看護の視点から,須田らは1)面談や電話相談が多いケースを検討し,退院直後から1か月間は,病状が安定しにくいため,病状変化に対する相談と疲労や不安の訴えがあり,介護が長期化すると新たな問題や病状が悪化した時に電話相談がある,と報告している。また,外来患者とその家族の電話相談内容を調査した伊藤ら2)の報告では,病状変化に関する電話が多く,外来受診などの対応となることが多かったことが示されている。このように,電話相談に関しては,外来での継続看護における電話相談についての研究はみられるが,在宅療養における電話相談を検討した研究はあまりみられない。
今回,在宅療養者に対して緊急対応が必要となった電話相談(以後,「緊急電話相談」と略)に焦点を絞り,その内容を分析し,どのような要因が緊急電話相談に影響しているか調査し,検討したので報告する。
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