特集 排泄ケアを見直す
無理のない排泄自立支援への取り組み
中村 泰之
1
,
小林 達子
1
,
森山 大介
1
1介護老人福祉施設・新いなば幸朋苑
pp.361-365
発行日 2006年4月1日
Published Date 2006/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100440
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はじめに
新いなば幸朋苑は,定員50名,6ユニットの新型特養である。利用者の平均介護度は4.1で,全員が排泄に関して何らかの介助を必要とする。
開設(1998年)当初は,排泄ケアについての明確な基準をもっておらず,「排泄サインがない」もしくは「尿意や便意を訴えることのできない」利用者には紙オムツを使用していた。「一日5回の定時の交換まで,排泄物を漏れないように保つために,オムツの中にパットを何枚重ねて使用したらよいか」というのが,しばしば出されるミーティングの議題であった。今ふり返れば,反省させられることばかりである。信じられないようなケアであったが,それが当たり前となっていた。
2001年4月,身体拘束ゼロをめざし,抑制廃止宣言を行なったが,その取り組みの中で,私たちは「安易なオムツ着用は『身体拘束』であり,『個人の尊厳を奪う』」という言葉に出合った。さらに職員の1人ひとりが抑制について,また介護のあり方について考えていく中で,必然の結果として,2003年よりオムツはずしの取り組みを開始した。
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