特集 在宅ターミナルケアと看護の役割
[座談会]地域に開かれた複合施設ケアタウン小平のめざすもの
山崎 章郎
1,2
,
蛭田 みどり
2,3
,
菊井 和子
4
1ケアタウン小平クリニック
2NPO法人コミュニティケアリンク東京
3ケアタウン小平訪問看護ステーション
4関西福祉大学
pp.930-936
発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100232
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弊誌「訪問看護と介護」に川越博美氏(聖路加看護大学教授)と山崎章郎氏の対談「ホスピスケアは地域を指向する」が掲載されたのは2003年6月のことでした。この対談の末尾に,山崎氏は「コミュニティケアタウン用地が確保できることになった。われわれの構想しているコミュニティケアは数年後に実現可能となったのである」との追記を寄せています。それから2年数か月後の今年10月,山崎氏の構想は現実のものとなり,賃貸住居,クリニック,訪問看護ステーション,ヘルパーステーションなどを備えた複合施設「ケアタウン小平」がオープンします。本号では,新しい取り組みに込めた思いやその背景について,山崎氏と,訪問看護ステーション所長の蛭田みどり氏にお話をうかがいました。聞き手は,早くからこの構想に期待を寄せ,自身もホスピスケアを探求している菊井和子氏です。
構想の背景
施設ホスピスの役割とその限界
菊井 このたびは「ケアタウン小平」の開所,おめでとうございます。まずはこの構想から実現までをお話しいただけますか。
山崎 構想のきっかけは,施設ホスピスで長く仕事をしてきたことの中にありました。末期の患者さんたちが直面する問題にはいろいろありますが,いちばん大変な時期は,さまざまな身体能力の低下がみられる,亡くなる前の1か月くらいからです。日常生活が破綻し,それに伴って生きていくことの意味が見えなくなり,その喪失を経験して,最終的に亡くなっていく場合があります。まさに階段を転げ落ちるように,身体能力や生命力が低下してしまうわけです。
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