特別記事
介護施設における褥瘡ケア―栄養管理を中心に
中野 千香子
1
,
小谷 優子
1
,
小林 達子
1
,
馬場 幹男
1
1介護老人福祉施設新いなば幸朋苑
pp.278-282
発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100065
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はじめに
新いなば幸朋苑(以下,当施設)は,2000年,鳥取市に開設された50床の介護老人福祉施設である。入居者の要介護度は平均4.1で,大半の入居者に脳血管障害の既往がある。したがって四肢麻痺,片麻痺,嚥下障害など,何らかの機能障害をもちながら生活を送っている入居者は多く,るいそう,皮下脂肪厚減少,病的骨突出,貧血,浮腫なども出現することから,褥瘡をつくらないよう常に注意している。
それでも褥瘡が発生してしまった場合,また褥瘡をもって施設に来られた方については,各職種(医師,看護師,介護福祉士,管理栄養士,調理師)で情報交換し,カンファレンスを行ない,改善に向けての問題点を検討してきた。
褥瘡の発生要因は,皮膚に対する応力(圧縮応力・引っ張り応力・せん断応力),摩擦,皮膚の浸軟,さらに低栄養であるといわれる。中でも低栄養は大きな要因である。そこで当施設では栄養状態の改善のために,2004年4月にNST(栄養サポートチーム)委員会を設立した。NST委員会は医師・看護師・介護福祉士・管理栄養士・調理師・言語聴覚士・歯科衛生士で構成され,それぞれが専門的立場で意見交換を行なう。さらにNST委員会では,全入居者の栄養状態を,施設長考案のNSTパスを用いてアセスメントし,明らかになった問題点に対して方針を立ててトータルにケアを行なっている。
本稿では,栄養管理を中心に関わった褥瘡ケアについて,2事例を紹介する(表1)。
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