連載 続・白衣のポケット・2
精神の高み
志水 夕里
pp.166
発行日 2001年2月10日
Published Date 2001/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686902330
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間質性肺炎。入室する患者の病名がそれとわかると,スタッフの誰もがため息をもらす。そのくらい予後が悪く,進行も急激で,治療が効を奏さない虚しさを痛感する。どんなに手を尽くしても,血中酸素濃度がどんどん低下していく。最初は,自発呼吸を生かし,鎮静も浅めにするため,人工呼吸器があっても,努力様の呼吸になり,苦しそうで気の毒である。さらに悪化すると,肺線維化のリスクを負って,高濃度・高圧で酸素を送り,かなり深い鎮静をかける。すると,苦痛は緩和されるものの,それは同時にラストステージに近いということを意味し,やはりつらい。
通常の肺炎のイメージが重くはないゆえに,家族も,進行の早さや病状の厳しさに戸惑うことが多い。人生の最期に及び,挿管で話すこともできず,苦しんでいる患者を見守ることしかできない家族を思うと心が痛む。
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