増刊号 眼科診療のピットフォールあるある—対応スキル爆上げのヒント
6.網膜血管障害
糖尿病患者の診察②—OCT,OCTA所見をフル活用! いざ,ともに糖尿病黄斑浮腫診療の高みへ
花栗 潤哉
1
1日本大学医学部視覚科学系眼科学分野
キーワード:
視細胞障害
,
SSPiM
,
黄斑部網膜の牽引
Keyword:
視細胞障害
,
SSPiM
,
黄斑部網膜の牽引
pp.171-176
発行日 2025年10月30日
Published Date 2025/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.037055790790110171
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
糖尿病黄斑浮腫(diabetic macular edema:DME)は糖尿病に伴う眼合併症のなかでも視力低下に直接関わる重要な病態の1つである。現在,DME治療の第一選択は抗血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)薬の硝子体内注射であるが,高価な治療を継続することによる患者の経済的・心理的負担をはじめとした問題点も抱えている。漫然とVEGF阻害療法を継続しても視力改善の見込みが薄い症例や,抗VEGF薬の治療効果が低い可能性のある症例を予期することは,治療指針を組み立てるうえで重要である。
抗VEGF薬で治療効果が得られにくい難症例に対しては,ステロイドのテノン囊下注射(sub-Tenon's triamcinolone acetonide injection:STTA)をはじめとした局所投与やレーザー光凝固,硝子体手術などの他の治療選択肢を上手く活用することも重要である。眼科診療は検査機器によるイメージングの進歩とともに発展してきた。本稿では,近年のDME診療の要である光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT),および光干渉断層血管撮影(OCT angiography:OCTA)で得られる所見の活用の一部をご紹介する。

Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.