連載 見直そう「儀式」「習慣」だらけの感染管理・8
手術室の微生物対策
土井 英史
1,2,3,4
1関西労災病院
2岸和田徳洲会病院
3セコメディック病院
4ヘルスケアリソース研究所
pp.164-165
発行日 2001年2月10日
Published Date 2001/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686902329
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創感染から手術部位感染へ
今回は手術室,外科系ユニットでのInfection Controlについて解説します。このユニットでは,「手術部位感染(Surgical Site Infection:SSI)」が最も大きな問題となります。以前は,SSIのことを「創感染」とよんでいましたが,感染問題は深部組織に及ぶので,現在では前述したように「手術部位感染」とよんでいます。
手術室では,あくまでも手術による創部の感染を引き起こさないことが目標となります。SSIの大部分は,手術中にその切開創への微生物(内因性または外因性)汚染が生じていることが多くあり,患者本人の内因性細菌のほうが環境などの外因性細菌よりもSSIの原因になることが多いとされています。このことから考えると,これまで日本では,直接原因とならない環境のほうに焦点をあててしまい,実際に対策を立てるべき重要な部分がおろそかだったことに気付かされます。手術室のInfection Controlといえば,単純に「環境の微生物を"O"にすることで,手術部位感染は限りなく"O"に近づく」と長年信じられてきたからです。1999年にCDC(Centers for Disease Controland Prevention:米国疾病対策センター)が,SSIについてガイドラインを発表して以来,SSI予防の概念も大きく変化しました。
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