焦点 社会資源としての患者会
情報化時代における患者コミュニティの可能性
和田 ちひろ
1
,
林 幹泰
1
1杏林大学保健学部
pp.133-137
発行日 2001年2月10日
Published Date 2001/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686902321
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スピルバーグが作った バーチャル・コミュニティ
映画監督スティーブン・スピルバーグが病院を作ったらどうなるだろうか。病院だからこそ,子どもたちに夢を与えるような空間を創造するのではないだろうか。
彼は1990年代初期にスターブライト財団(Starbright Foundation)1)を設立。1995年には「スターブライト・ワールド(Starbright World)という入院中の子どもたちだけが共有できるバーチャル・コミュニティを作った。現在約100の小児病院がネットワークされており,子どもたちは自分が入院している病院内で同じ病の友達を見つけられない場合でも,スターブライト・ワールドで,自分と同じ病気で同じ趣味をもった同い年の友達を見つけ,メール交換やビデオでお互いの顔を見ながらの会話を楽しむことができる。たとえば,骨髄がんの少女は化学療法で髪がほとんど抜け落ちたために人との接触を拒むようになっていたが,同じ治療を受けている子とメールのやりとりをするなかで,相手の子も髪が抜けていることを知り,自分だけではないんだ,という気持ちになったという。そしてビデオで互いの姿を確認し合うことにより,自分に自信がもてるようになったそうだ。
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