巻頭言
情報化・国際化時代における分化と統合
浅井 昌弘
1
1慶應義塾大学医学部精神神経科学教室
pp.116-117
発行日 1995年2月15日
Published Date 1995/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903815
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あと5年で21世紀になろうとしている昨今の状況について,情報化と国際化,そしてスピード化,価値観の多様化などの傾向を挙げることができる。情報化はコンピュータにより促進されたが,種々の側面がある。一つには『アナログ情報のデジタル化』があり,連続的な事柄を区切って数量化したり,質的なものを量的なものに変換して検討したりする手法がある。精神現象を言葉という文字情報で記載する場合にも問題があるが,さらに数字化することになるといろいろな疑問も生じうる。しかし数字を用いて数量化しなければ客観的な検討はなかなか進まない。こういったことは単純に正しいとか間違いとかいうよりも何が問題なのかを認識していることが大切と思われる。
情報化の今1つの側面は『情報過多』ともいうべき情報量の増加であって,新聞・雑誌・単行本・CD・フロッピーその他の記憶媒体による大量の情報の蓄積・複写と伝達方法の発達である。あらゆる情報は移動電話やファクシミリ・衛星テレビ・国際宅急便・電子メール・光ファイバーネットワークなどの情報伝達システムの発達により迅速に伝播されてゆく。しかし,情報過多に悩まされることも多く,情報の有効な整理・活用法が必要になり,ある目的に最も適切な情報を最も早く検索して活用することが重要であり,そのためには最も適当なデータベースや情報システムを選択して,キーワードや重み付けを適切に設定することに十分留意せねばならない。
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