連載 見直そう「儀式」「習慣」だらけの感染管理・7
分娩時の防護具着用は誰のため?
土井 英史
1,2,3,4
1関西労災病院
2岸和田徳洲会病院
3セコメディック病院
4ヘルスケアリソース研究所
pp.82-83
発行日 2001年1月10日
Published Date 2001/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686902313
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妊婦のスクリーニンク検査は何のためにする?
今回は,産婦人科におけるInfection Controlについて述べてみたいと思います。産婦人科は,血液,体液などに日常的に接触している現場にもかかわらず,かえって日常的であり過ぎて,業務が「儀式」「習慣」化してしまいがちです。すでに,本連載第3回で取り上げた標準予防策を用いている施設もあると思いますが,再度いくつかの場面から実際的なInfection Controlについて検証してみましょう。
まず,妊婦は必ずと言っていいほど,「スクリーニング検査」を受けます。これは生まれてくる子どもや母体の感染症の有無を判断するために行なわれます。ここで,今回の最も大切なポイントですが,この検査が実施され,検査結果がいわゆる「陰性」と出ても,医療従事者は感染のリスクのあるものについて一律に取り扱わなければならないということです。感染のリスクのあるものとは,血液,体液で,産婦人科領域では羊水や腟分泌液なども含まれます。これらには,ウインドウ期である場合や,未知の微生物が存在する可能性があるので,スクリーニング検査は曝露前対策として参考になる程度でしかないことは,連載第3回で書きました。改めて,スクリーニング検査でわかることは何か,また何のために実施するのか,そして,スクリーニング検査の限界をはっきりと認識しておく必要があるでしょう。
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