特集 カルテ開示時代の看護記録
法的に見た診療記録開示の意義
樋口 範雄
1
1東京大学法学部
pp.515-519
発行日 1999年7月10日
Published Date 1999/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901961
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はじめに
日本においても,情報の開示や透明性,あるいは情報公開という言葉がすっかり日常語になった.これらの影響は医療の分野にも及び,カルテ開示やインフォームド・コンセントの問題が,現在の医療における重要問題の1つとされている.
たとえば,1997年夏に厚生省健康政策局長の下に設置された「カルテ等の診療情報の活用に関する検討会」の中心テーマはカルテ等の開示であり,98年6月には,カルテ等開示を積極的に推し進めること,その環境整備のためにも法制化が望ましいという報告書が出された1).これに対応して,日本医師会や国立大学病院長会議が,やはり診療情報開示の方向でガイドラインをとりまとめた2,3).また,日本医事法学会は98年12月に開かれた学会で,「医療情報開示―カルテ開示を中心として」というシンポジウムを開催した4).
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