特集 看護教育における記録の問題
問われる記録の質―看護記録や実習記録はカルテ開示にたえられるか
柴田 恭亮
1
,
藤野 成美
1
1西南女学院大学保健福祉学部看護学科
pp.96-100
発行日 2000年2月25日
Published Date 2000/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902204
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はじめに
1997年7月に「カルテ等の診療情報の活用に関する検討会」(厚生省健康政策局長の私的検討会:座長・森島昭夫上智大教授)が発足した.翌98年の12月25日には,この検討会の報告書を骨子にした厚生省案が医療審議会に提示された.ところが,医療審議会は,1999年6月23日に,「カルテ開示の法制化」を実質的に先送りする意見書を厚生大臣に提出した.カルテ開示を医師に義務づけるのは,時期尚早という日本医師会の意向が強く反映された結論である.
ところが,その前後の動きを見ると,1999年1月には,兵庫県個人情報保護審議会が,遺族へのカルテ開示を認める答申をしている.さらに,10月4日には,東京都が都立全病院の過去10年間の診療情報を,11月1日から原則開示をすると公表した.他にもカルテ開示を検討中の国公立病院は少なくない.また,日本医師会の指針に沿った自主的なカルテ開示も,都道府県医師会レベルで始まっている.検討会案より進んだ内容のカルテ開示を,早い時期から実施している医療機関もある.
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