主張
迫られる診療記録の開示に向けた環境整備
N
pp.913
発行日 1999年10月1日
Published Date 1999/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902817
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かねてから論議されてきた診療録の開示に関する当面の方向が示された.すなわち,医療従事者の自主的な取り組みの経過をみるとともに,診療記録の開示の円滑な普及・定着に向けて3年を目途に環境整備を推進し,開示を実施している場合にそれを広告可能とするというものである.診療録開示を法制化することについては,これらの取り組みや環境整備の状況をみながら,さらに検討するとしている.
現在の病院における診療録の記載,および管理の現状を知る立場からは,法律に基づく開示の義務化は必ずしもよい結果を生まないと考えられてきたところであり,今回の対応はおおむね妥当であると評価したい.しかし,このことは診療録の開示が先送りされたことを意味するものではなく,むしろそれが急速に普及することを予感させる.特に,開示を実践している医療機関がそのことを広告できるとしたことは,医療の内容や医師・病院の姿勢に敏感となっている患者の受療行動に大きく影響し,医療機関側の開示に向けた対応を強く迫ることになると考えられるからである.
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