連載 amans惠道通信・19
看取りの周辺(三)―もっと視野を広げて見てみよう
飯島 惠道
1
1東昌寺
pp.568-569
発行日 2002年7月10日
Published Date 2002/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901675
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●形だけの旅仕度
この一か月,一つの葬儀を終えて,ほっとするのも束の間,ひっきりなしに檀家さんから死亡通知の電話を受ける日が続いた。私がこのような日々を送ったということは,医療現場でも看取りが続いたということになる。少々不謹慎な物言いかもしれないが,このようなところに医療現場と私の現場との距離の近さを感じてしまう。葬儀では,導師に加え,二人から五人ほどの僧侶にお手伝いいただくのだが,そのお手伝いの僧侶が見つからないほど,どこのお寺でも葬儀で多忙を極めている日もあった。
私がお手伝いさせていただく葬儀の前には,必ず枕経,納棺,火葬がある。したがって,ひと月の間に何人もの方のご遺体を棺に納めさせていただいた。その後,旅立ちの衣装を整えていく。つまり,遺体に直接着せるのではなく,遺体の上に衣装を置く形をとっている。旅立ちの衣装とは,時代劇などでよく目にする「旅スタイル」である。
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