無視できない「結婚」と「出産・育児」

　第2回，第3回と，看護サービスに対する診療報酬支払いの仕組みが，看護師の働き方に重大な影響を与えることを明らかにしてきた。それは，看護師に他の職種でも可能な業務を肩代わりさせたり，技能の高い看護師の賃金や労働条件を低下させ，技能向上のインセンティブを削ぐ，という影響であった。しかしながら，たとえ診療報酬支払いの仕組みがうまく機能していたとしても，看護師は元来，経済理論上，生産性に見合わない賃金が支払われやすい市場構造のなかにある。

　今回は，その主要な原因である，看護師の労働力（労働サービス）提供の仕方，すなわち労働供給の特徴について，看護師の大半を占める女性に特有の働き方を論じた上で明らかにする。