特集 看護管理のナレッジマネジメント―現場に活かす知とワザ
学習する組織の構築と看護管理者の役割
井部 俊子
1
1聖路加国際病院看護部
pp.505-512
発行日 2002年7月10日
Published Date 2002/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901660
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はじめに
聖路加国際病院の創設者ルドルフ・B・トイスラー博士は,1902年に「キリスト教の愛の心が,人の悩みを救うために働けば,苦しみは消えて,その人は生まれ変わったようになる。その偉大な愛の力を,だれでもがすぐわかるようにあらわせるよう計画されてできた生きた有機体がこの病院である」とした病院の理念を掲げた。90年後,『ナレッジ・クリエイティング・カンパニー』と題された論文1)(野中,1999)では,「組織はマシンではない,『有機体』がゆえに知識がエネルギーとなる」と述べられている。つまり「一人の人間のごとく,組織はそのアイデンティティや基本となる目的について,集団として共通感覚を持つことができる」のであり,これを「組織の自己知識」と称している。
野中はさらに,組織的知識創造理論2)の新しい展開として,3つのコンセプトを提示している。すなわち,知識創造における「場」「知識資産」「リーダーシップ」であり,これらは暗黙知と形式知の「知識変換のプロセス」と不可分に結びついており,全体として「知識創造プロセス」を構成するとしている。
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