連載 シネ・プロフィル・18
イタリア映画のネオ・リアリズム
片場 嘉明
1
1厚生中央病院・外科
pp.411
発行日 2002年6月10日
Published Date 2002/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901642
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イタリアは,第二次世界大戦で日本と同じ敗戦国となったが,戦後いち早く映画の世界に革命をもたらしていた。
イングリッド・バーグマンの自伝『My Story』の冒頭は「ハリウッドの映画館通りの寒空のもとに出た彼女は茫然自失としていた」の一節で始まる。「リアリズムと簡潔さに胸を抉られた」と語ったこの映画こそ,イタリア・リアリズムの巨匠ロッセリーニ監督の「無防備都市」であった。続いて『戦火のかなた』を観た後,彼女は募る思いを込めて「もし貴方が……イタリア語は一言しか知らないスウェーデン女優を必要とされていたら……」という,今では伝説となった恋文を送り,ついに,夫と子どもを捨てロッセリーニ監督の胸の内に飛び込んでしまうのである。
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