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メタル・ラミナリアを推奬する
河原 節
1
1東邦醫科大學産婦人科教室
pp.403
発行日 1949年10月10日
Published Date 1949/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200268
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凡そ手術の中で人工流産手術程進歩を示さないものはない.尤も4,5ヵ月から先は最近のアブレル氏法によつて一大飛躍を示しているがアプレル氏法にもまだ檢討されなければならない事項が未解決のまゝに多々殘されているように思う.アブレル適用以前の妊娠月數の人工流産手術には古書に書かれているまゝの方法が殆んど進歩を示すことなく行われている.そしてこの手術は視覺よりも觸覺に依存しなければならない點に於て最も非科學的であり,又それだけに思いがけない偶發事に出會うものである.
この手術の最も困難な所は頸管の擴張にあると思う。同じ流産手術に於ても自然流産の如く頸管が既に1指も擴張せられているものに於ては,人工流産に比して遙に容易であることは衆知の所である.それ故,頸管の擴張こそ最も巧妙に愼重に行われなければならない.頸管擴張が必要以下に於て流産手術を行えば非常に屡々故障を起すものである.さて,從來から頸管擴張にラミナリアが使用せられていた.然しラミナリアにはいくつかの缺點がある.例えば消毒が困難であること,使用後も豫期した程度の頸管開大がみられないこと時にはラミナリアが頸管に嵌頓して除去することが困難であることがあること,不經濟であることなどがそれである.然るにメタル・ラミナリアは是等の缺點を完全に補つていてくれるものと思う.
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