連載 チーム医療の現場から医療制度を考える・2
お葬式とわが国の医療費
本田 宏
1
1埼玉県済生会栗橋病院外科
pp.157-159
発行日 2002年2月10日
Published Date 2002/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901580
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わが身に降り掛かった「お葬式」
『お葬式』という映画をご存知だろうか。1984年に公開された伊丹十三監督の処女作で,突然の家族の死とそれに続く葬式に見られる人間模様を滑稽に捉えた作品だ。当時,いつかは自分の身にも起こり得ることと他人事(ひとごと)に思えなかった。それから17年経った昨年の七夕の朝,田舎の母が亡くなり,私も伊丹映画に優るとも劣らないドタバタ劇を経験することとなった。
田舎の両親は,私と弟が田舎を離れて30年,小さな商売を営みつつましく2人だけの生活を送っていた。母は20年前からリウマチを患い,徐々に歩行も困難となっていた。一昨年の秋に肺炎で入院し,転倒して大腿骨頭を骨折,その後病院で寝たきりの生活を余儀なくされていた。ほぼ開店休業のまま,父も病院通いを日課として独り暮らしていた。
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