連載 看護師の働き方を経済学から読み解く・7
教育の差から見た看護師の賃金格差
角田 由佳
1
1前 国立社会保障・人口問題研究所
pp.810-815
発行日 2002年10月10日
Published Date 2002/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901532
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看護師は,その労働供給が家族の状況に制約を受けることから職場移動が難しく,一方で専門職として雇用主が限定されやすい。そのため,労働力が安く買い叩かれ,低い賃金を支払われる傾向にあることは,これまでの回で論じてきたとおりである。このとき,どの雇用主も,看護師に対して低い賃金を支払うことが可能なはずである。にもかかわらず,前回明らかにしたように,規模や開設主体といった,勤務する病院の特性によって,比較的高い賃金を支払われている看護師もいれば,低い賃金を支払われている看護師もいる。なぜ,このような賃金格差が生じるのだろうか。
今回は,看護師間に存在する賃金格差について,教育やトレーニングにより養成される技能の差異をもって説明する,「人的資本論」から分析する。
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