連載 チーム医療の現場から医療制度を考える・10
住民基本台帳ネットワークのトラブルから見えるもの
本田 宏
1
1埼玉県済生会栗橋病院外科
pp.807-809
発行日 2002年10月10日
Published Date 2002/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901531
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吹けば飛ぶよな「万全の体制」
うだるような暑さが続いた8月初旬,マスコミは住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)導入の話題でさらにヒートアップした。行政事務を簡素化し,国民にもメリットがあるとされた住基ネットだったが,個人情報が国に管理される恐れやそれが漏えいするのではという国民の不安感は強く,「せめて個人情報保護法を整備するまで導入を見直せないか」などの意見が各方面から寄せられた。しかし,片山総務大臣は「万全の体制を整えてある」と胸を張って,反対する6市町村を除いて,8月5日強引に一斉導入に踏み切った。
蓋を開けてみれば,導入当日からコンピュータの接続不良,翌日には個人のID番号を誤って他人に送付するなどのミスが連発した。これに対して総務大臣は「現場は精一杯やっている。人間がやることだから……。お互いが偉そうなことを言えるかということです」とインタビューに答えた。そして,同日「陸上自衛隊情報網のデータが流出」という記事が新聞の一面を飾り,「万全の体制」の儚さが露呈した。
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