特集 看護倫理が医療を変える
終末期医療における療養の場の移行に伴う倫理的問題
吉田 千文
1
1千葉大学医学部附属病院看護部
pp.509-514
発行日 2001年7月10日
Published Date 2001/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901450
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はじめに
筆者は,地域の民間総合病院において,患者主体の医療とケアの継続を目的とした調整活動を行なってきた経験をもっている。入退院のような療養の場を移ることに関した相談や調整活動は,筆者の重要な役割の1つであった。
終末期患者の入院相談において,家族は,他の病院で「治療法がない」と言われたことへの疑問,あるいは患者を自宅へ連れ帰った場合の患者の状態の悪化や,介護負担に対する強い不安を表出する。そして,改めて可能な治療法を見出すために,家族だけでは抱えきれない患者の終末期医療を専門家に託すために,なんとしてでも入院を受け入れてもらおうと懇願する。また,医師に強く促されるままに退院したものの,患者の進行していく病状には対応できず,救済を求めてくる家族もいる。
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