これからの高齢者医療-診断・治療・予防への対応
《高齢者の終末期医療》終末期の医療倫理と制度
植村 和正
1
1名古屋大学医学部附属総合医学教育センター
キーワード:
生命倫理
,
安楽死
,
医事法制
,
医の倫理
,
認知症
,
ターミナルケア
,
高齢者保健医療サービス
,
患者の権利擁護
,
脳卒中
Keyword:
Bioethics
,
Dementia
,
Ethics, Medical
,
Euthanasia
,
Health Services for the Aged
,
Legislation, Medical
,
Patient Advocacy
,
Terminal Care
,
Stroke
pp.1258-1262
発行日 2011年12月1日
Published Date 2011/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2012088967
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・世界保険機構(WHO)が定義する緩和ケアの考え方は、高齢者の終末期医療にも適応できる、人間的で理想的な全人的な医療およびケアといえる。・高齢者の終末期の大きな特徴としては、脳卒中・認知症による寝たきりがあり、最終的には全面介助状態になり植物状態とも区別がつかなくなる。・終末期医療を取り巻く法整備等は日本では進められていないが、主治医による「呼吸器外し」が殺人容疑で逮捕対象となったことにより、医療現場の硬直化が生じている。・回復の可能性があっても治療の「不開始」を選択するという非倫理性と、いったん開始したら治療義務の限界を超えても絶対に「中止」はしない、という非倫理性から脱するには、試行治療を可能にする環境を整備する必要があるのではないか。
©Nankodo Co., Ltd., 2011