発行日 2008年7月20日
Published Date 2008/7/20
DOI https://doi.org/10.15106/J03022.2008275595
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【目的】終末期に一般病棟で療養したがん患者の療養場所移行における遺族の経験と医療者への家族支援ニーズを明らかにする。【方法】がん患者の遺族5名を対象に、療養場所移行検討時の経験と医療者への家族支援ニーズに関する面接調査と質問紙調査を実施した。面接調査は質的に分析し、質問紙調査は頻度の単純計算を行った。【結果と考察】対象者は、移行のきっかけを<主治医からの転院のうながし><家族からの転院の希望><主治医の転勤による担当医の変更>のためと回答した。移行検討時には<見捨てられた><これ以上ここにいることができないと感じた>つらさや<転院先の不十分な紹介><受け入れ先のなさ>などの困難を感じており、医療者のコミュニケーションの改善と情報提供に関する実態把握の必要性が示唆された。面接調査での家族支援ニーズの表出は少なかったが、質問紙調査では、患者ケアに関する項目や家族の精神的な問題への対応に関する項目に改善の必要があると回答し、潜在的な家族支援ニーズを有するが、自身が支援対象であることに気がつかずに表出していない可能性が推察された。医療者が提供可能な家族支援のアピールや、ニーズアセスメントが必要である。
©Nankodo Co., Ltd., 2008