特集 看護の視点を生かすコーディネーター
HIV患者が看護職に求めた機能―HlV専任コーディネーターの役割
渡辺 恵
1
1国立国際医療センターエイズ治療・研究開発センター
pp.754-759
発行日 2001年10月10日
Published Date 2001/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901308
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はじめに
HIV感染者数の増加(図1)と患者の多層化によって,専門治療以外の問題解決を要するマネジメント困難例が増加している(表1)。一方,抗HIV療法は,毎年新薬が開発され,治療のガイドラインも改訂されるなど,未だ発展途上であるため,治療開始時のインフォームドコンセントが,患者にとって必ずしも恒久性のあるものではないという悩みがある。このような事情から,医療を実施する場合の十分な説明や意思決定までの相談対応,その後のセルフケア支援,精神的サポートなどの活動を十分行なうことができる医療体制整備への要求が,今後一層高まる1)ことは必至である。
我が国で1997年から可能になった抗HIV薬による多剤併用療法は,HIV感染者の免疫レベルを劇的に改善し,エイズ死亡者数を激減させ,患者は外来通院しながら就職や進学などの社会復帰ができるようになった。そのため,医療側からの支援内容も,これまでのターミナルケアや日和見感染症の急性期における直接ケアから,慢性疾患ケアへと変化した。これは,ケアの実践主体が医療者から感染者本人へと変化し,医療者の主な役割が,感染者のセルフケア支援になったことを意昧している2)。
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