連載 白衣のポケット・11
冷たい唇
志水 夕里
pp.153
発行日 2000年2月10日
Published Date 2000/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901154
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生まれてくる場の,感動や衝撃に何度も立ち会った。そして今は,誕生よりも,死に際する機会が多い職場に居て,思う。病院,それもICUで死を迎えることは,なんて葛藤が多いのだろうと。少なくはない数の看取りをしてきて,冬になると思い出す,忘れられない別れがあった。
「皆さん,ありがとうございました。先生も,長い時間ありがとうございました」涙ながらにしぼり出した母親の声が,耳の奥で響き続けている。
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