てんてき
看護婦さんは冷たいか
中神 秀子
pp.21
発行日 1967年8月1日
Published Date 1967/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913235
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さきごろ,知人の青年が看護婦さんと結婚しました。きいてみると結婚にこぎつけるまでなかなか年月がかかったようです。青年の両親はじめ親類の老人連中の看護婦という職業への偏見が原因でした。看護婦さんへの偏見といえば私も,こんな批難を耳にします。看護婦は“理屈をいう。冷たい。生意気だ。すれている”などなど。したがってそういう職業の女を妻にすることは男にとって好ましくない,とその青年の周囲の人たちは反対したということでしょう。
しかし考えてみると,この種の批難は特別に看護婦さんだけにむけられているというものではなくて,職業をもつ女性一般に対してもいわれます。看護婦さんにかぎらず,専門的な技術を必要とする職業をもつ女性だったら,自分の業務について“理屈”つまり“ものごとの道理”を主張することは珍しくありません。業務をすすめるためには見方によれば“冷たい”と感じられるきびしさも必要でしょう。また社会にでて働く以上,だれだって“すれる”つまり世間に馴れ人に馴れるのはこれもあたりまえのことです。職業をもつ女性を評するのに箱入り娘が人まえでものもいえないのをよしとするような感覚で批難する方が,私にはナンセンスに思われます。
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