調査研究
看護職員の運動量に関する一考察―大学病院整形外科病棟看護婦の三交代勤務における消費カロリー及び歩数の測定
桑田 弘美
1
,
浅野 愛美
2
,
今井 七重
3
,
熊谷 佳代
4
,
石原 多佳子
5
,
山崎 捨夫
6
,
今井 一
4
1岐阜大学医学部看護学科
2岐阜県立羽島高等学校
3福富医院病児保育園
4岐阜大学教育学部保健体育講座
5中部学院大学短期大学部社会福祉学科
6岐阜大学医学部
pp.1001-1005
発行日 2000年12月10日
Published Date 2000/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901125
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はじめに
看護職員の疲労性健康障害には,腰痛,頸肩腕部痛,ストレスなどが挙げられ,その原因には看護という仕事の労働様態の特殊性が存在すると考えられる。医療に対する科学的技術が高度化するのに伴い,医用工学機器などの操作・管理を含めて,治療を効果的に行なうための患者へのかかわりに,看護婦の物理的・精神的ケアはますます重要な意味をもち,その業務がさらに複雑化する様相を見せている。看護過程を実践するための方法も多岐にわたるため,看護婦(士)の学習量・仕事量は相対的に増加傾向にあると考えられる。
入間川ら1)は,病棟看護婦の労働負担の実態を,日勤・準夜勤・深夜勤の勤務時間帯別・看護業務分類別に心拍数とエネルギー消費量を測定することで客観的に把握した。これによると,他職種の労働者と比較すると,心拍数から看護婦の勤務別エネルギー消費量や1日のエネルギー消費量が高い数値であることを報告している。また,1972年の沼尻2)による報告と比較してもエネルギー消費量が高い。これらのことは,かつてに比べて,現在の看護業務は医療技術の進歩に伴い高度化・複雑化しているため,心拍数増大にみられるような精神的緊張の高まりによる仕事後の身体的・精神的疲労を訴える看護婦が多くなってきていることを指摘するものである。
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