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はじめに
2014年12月13日に日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会が共同で「わが国の産婦人科医療再建のための緊急提言」を提出した1).そのなかに,「地域の基幹分娩取扱病院は,重点化・大規模化を迅速に推進し,勤務医の当直回数の削減,当直明け勤務緩和,交代制勤務導入等の勤務条件の改善が可能な体制とすること」と記載がある.こうした体制に必要とされる施設あたりの産婦人科常勤医数の数値目標としては,総合周産期母子医療センターでは20名以上,地域周産期母子医療センターやその他の地域基幹分娩取扱病院では10名以上としている.もし妊娠・育児・介護などの理由で当直勤務のできない常勤医が一定数いても,宿直回数などで法令を遵守し,24時間対応の体制を確保するためには,これが最低限の人数である.今後多数を占めていく女性医師が就労を継続し,分娩の現場を支えることが可能となるためにも,基幹分娩取扱施設の重点化・大規模化は必要不可欠であるという考えが述べられている.
果たして産婦人科において交代制勤務は可能なのか.導入されるとどのような効果がみられ,新たにどのような問題が発生するのか.現在ではまだ実施医療機関がきわめて少ないが,すでに制度導入後5年以上を経過している日本赤十字社医療センターでの事例について本稿で紹介したい.なお,2014年6月21日に開催された日本産科婦人科学会総会フォーラム「わが国の周産期医療の持続的発展のため産婦人科の抜本的改善を目指す」において,「交代勤務制〜ワークライフバランスの観点から〜」というテーマで当センターの実践として発表し,同学会ホームページ「ワーク・ライフ・バランス」2)の事例としても紹介されているので,そちらも参照されたい.
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