連載 ナイチンゲール―在宅医療へのまなざし・5
福祉の転換点
小川 典子
1
1北里大学看護学部
pp.384-385
発行日 1999年5月10日
Published Date 1999/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901005
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「障害は不憫である.しかし,不幸ではない」このヘレン・ケラーの言葉を自らの身体と行動で実践しているのが,ベストセラー『五体不満足』1)の著者,乙武洋匡さんである.「生まれてきただけでビックリされるなんて桃太郎とボクくらいのものだろう」というような,天性によるユーモラスな表現が,全編に流れる.
彼は小中高と公立学校で普通教育を受け,予備校に通い,大学に入学した.友だちからも「いつのまにかオマエが障害者だってことが頭から消えちゃってるんだ」と言われ,一緒に遊びに行く段になって初めて,「そうか,障害者だったんだ」ということになり,どうしたらよいかを考える.障害者としてではなく,あくまでも1人の人間として生きる.このまったくあたりまえのことが,日本では本当に長い間タブー視され,実現されずにいた.
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