特集 村瀬嘉代子1935-2025
事実へのまなざし
廣瀬 健二
pp.98-103
発行日 2025年9月10日
Published Date 2025/9/10
DOI https://doi.org/10.69291/cp25080098
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I はじめに
私は,裁判官として30年,刑事事件を中心に担当した後に,大学で20年余,刑事法・少年法の教育・研究をしている者で,心理学については,大学の教養課程で学んだほかは,必要に応じて文献を読んだり耳学問をしただけの門外漢である。このため,村瀬嘉代子先生の追悼特集である本号の執筆依頼を受けたとき,そんな資格はないのではないか,お断りしようか,などとも考えた。
しかし,村瀬先生との想い出を辿ってみると,後述するようなご縁があり,いろいろなご教示,ご厚情,ご高配もいただいていること,そしてそれが,私の大学における教育,少年法・刑事法の調査・研究の幅を広げ,研究成果にも豊かな影響を与えていただいていることに思い至った。以下の記述は,あくまでも門外漢の私が断片的に知り,感じとった村瀬先生の一面に関するものに過ぎないので,理解不足や的外れな点は,ご容赦,ご海容をはじめにお願いしておく。

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