Editorial
変化の時代に、変わらぬまなざしを
鈴木 富雄
1
1大阪医科薬科大学医学部 総合診療医学教室
pp.1353
発行日 2025年12月15日
Published Date 2025/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350121353
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感染症診療は、臨床の基本を最も端的に示す領域です。診断には、画像所見や血液検査データだけでなく、丁寧な問診と的確な身体診察、さらに生活環境や社会的背景の理解が欠かせません。患者さんの状態を多面的に把握し、経過を注意深く追いながら判断することが求められます。その過程には、臨床の根幹を成す観察と考察、判断と省察の営みが常にあります。
この10年、感染症を取り巻く状況は大きく変化しました。新興感染症の出現、診断技術や治療薬の進歩、医療体制の再構築など、現場は絶えず新しい対応を迫られています。しかし、どれほど時代が変わっても、診療の基本となる姿勢は変わりません。医療の技術やシステムがどれほど進歩しても、それを生かすのは、目の前の患者さんを真摯に診るという“確かな臨床の力”です。

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