連載 やわらかいからだのはなし・9
脳死の身体(下)
北澤 一利
1
KAZUTOSHI KITAZAWA
1
1北海道教育大学(健康管理政策論)
pp.380-383
発行日 2002年4月1日
Published Date 2002/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903945
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拡大するケア
「脳死の身体(上)」では,神経生理学などの領域で,脳死が人の死かどうかまだ決着がついていないことを紹介しました.また,「脳死の身体(中)」では,人々は脳死が人の死かどうかを個人的,感傷的理由で決定しているので,生理学的な決着などあってもなくてもいっこうに構わないことをみました.
この2点は,今日の医療現場で進行している状況を象徴しています.それは,生理学がはたす役割が以前と比べて縮小していることと,この生理学に代わって,個人の感情や価値観などの主観的な要因が医療現場を左右する勢力として拡大していることです.
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