実践報告
精神科無床一般病院の自殺予防に関する一考察—リスクアセスメント型「自殺事故予防対策ケアガイド」の作成と活用
高橋 淳子
1
,
中野 悦代
2
1総合病院聖隷浜松病院 専門看護室 総合看護相談看護課
2総合病院聖隷浜松病院 安全管理室
pp.1020-1024
発行日 2021年11月10日
Published Date 2021/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686202012
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はじめに
2017年,公益財団法人日本医療機能評価機構の認定病院患者安全推進協議会より,提言「院内自殺予防と事後対応」および自殺事故調査結果が公表された。この調査結果によると,精神科病床がない一般病院の自殺事故は,病棟内が最多で,自殺事故の約半数はがん患者であり,事故直前に身体症状の悪化・不安定化を認めた事例が4割に上った1)。また,入院患者の自殺の危険因子である主要動機は「健康問題」と言われている2)など,病者が集まる病院では,多くの自殺が生じている現状がある。
筆者が勤務する総合病院聖隷浜松病院(以下,当院:表1)は,1次救急から3次救急までに対応する高度急性期病院で,精神科無床の病院ではあるが,急を要する多発外傷の自殺企図や薬物多量内服患者の搬送も受け入れ,2020年の自損事故による救急搬送件数は市内で最も多かったと報告があった3)。
また,院内自殺事故は約10年間なかったが,退院直後や外泊中に自殺既遂に至る場合や,患者に何らかの気がかりや心配事があり,身体治療が長期に行われた時,「死にたい」と希死念慮を訴える場合もあり,看護スタッフは対応に苦慮しながらもケアを行ってきた。
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