連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・139
星は見えない夜もそこにあるよ
柳田 邦男
pp.86-87
発行日 2018年1月10日
Published Date 2018/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686200884
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私の好きな詩人・長田弘さんが亡くなられたのは,2016年5月のこと。あっという間に,1年半が過ぎてしまったが,月日が過ぎゆくほどに,長田さんの言葉や詩がかえって親しみを増す感じで浮かんでくる。最初に私の心をとらえたのは,散文詩のようなエッセイを集めた『記憶のつくり方』(晶文社,朝日文庫)だ。
長田さんは,詩やエッセイだけでなく,アメリカの絵本の翻訳にも,かなりのエネルギーを注いでいた。長田さんの詩の言葉は,時折格調の高い漢字の用語を登場させるが,全般的には平易でやわらかいトーンで貫かれている。しかし,やさしい表現の中に,深い人間哲学や人間観を忍ばせているのだ。
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