特集 2025年に伝えたい看護 医療の変革期を支えながら,未来につなげる新たなケアの創造を
患者の心と深く響き合うことが,看護の専門性を高める—看護部全体で取り組む「抑制しない看護」に向けたチャレンジ
小藤 幹恵
1
1金沢大学附属病院
pp.26-30
発行日 2017年1月10日
Published Date 2017/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686200618
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
はじめに
金沢大学附属病院(以下,当院:表)において,7対1入院基本料の算定を開始してから8年の歳月を経て,2016年2月に一般病棟および精神科病棟で身体抑制(抑制帯の使用)がなくなった。以後,これまでの間に3件発生したが,その都度貴重な学習の機会となった。これに伴い,ミトン,センサーマット,監視カメラの使用も激減した。
身体抑制を減少させるための取り組みは,基本的で当たり前,特別なことではないとのお考えも多いかと思う。小さな取り組みかもしれない。しかし,1件でも身体抑制が存在することで,本当に人の幸せにつながる仕事ができているのだろうかと心が痛み,看過することはできない。
医療技術の長足の進歩,高齢化の進行の中で,複雑・深刻な状況に置かれる患者を前に,看護師も抑制帯の使用について「ほかに方法がない」「やむを得ない」という気持ちに襲われやすい。そこで,「人として大切に思うこと」を根源に置いた「抑制しない看護」に向けたチャレンジが課題と考えた。
Copyright © 2017, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.