連載 看護事故の舞台裏・21
認知症失踪事件
長野 展久
1
1東京海上日動メディカルサービス医療本部
pp.848-851
発行日 2015年9月10日
Published Date 2015/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686200282
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認知症が国民的な関心事になったのは,厚生労働省が2013年に発表した衝撃的な統計がきっかけでした。2012年の時点で認知症の患者数は462万人,軽度認知障害の高齢者が約400万人,合計して862万人。いよいよ「認知症800万人」「高齢者の4人に1人は認知症」という時代を迎えたことになります1)。
認知症には何とか日常生活が自立している軽症例から,徘徊や妄想,攻撃的行動,不潔行為,異食などのBPSD(behavioral and psychological symptoms of dementia)が顕著な重症患者もいて,要介護度はさまざまです。そのうち認知症やその疑いがあって行方不明になる人は年間1万人近くにも上り,深刻な社会問題として取り沙汰されるようになりました。迷子になっても無事発見されればよいのですが,なかには交通事故に巻き込まれて大けがをしたり,河川や海に転落して死亡する事例も散見されます。
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