連載 当事者研究・10
〈研究テーマ〉「逃亡の研究」―統合失調症から“逃亡失踪症”へ
荻野 仁
1
1べてるしあわせ研究所・逃亡研究班
pp.70-74
発行日 2003年7月15日
Published Date 2003/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689900592
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1.はじめに……べてるで始まった“わが逃亡”
昨年の8月に〈精神分裂病〉の病名変更がなされ,〈統合失調症〉に変わった。いち早くその情報を知った私は,べてるを見学に訪れたお客さんの前で「統合失調症の荻野です」と自己紹介をした。しかし,それを聞いたべてるの仲間は大笑いしたのである。私には何が起きたかすぐには理解できなかったが,後でわかった。べてるのみんなにはそれが「逃亡失踪症」と聞こえたのである。「荻野さんも冗談がうまい」と,ウケけてしまったわけだ。
実は,このエピソードの前には伏線がある。
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