連載 看護管理の現場を紐解く ミッションを共有し,ともに価値を創り出す組織を目指して・15
変わる自己,変わらない自己③
武村 雪絵
1
1東京大学大学院医学系研究科 看護管理学分野
pp.518-521
発行日 2015年6月10日
Published Date 2015/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686200209
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オートポイエーシス理論を用いた考察
前回(5月号)は,ひどいいじめがあった小学校5年生のある学級が,新しい担任教師が赴任してからの2年間で劇的に変化した事例を紹介した。今回は,教育学者の蘭氏らが非平衡型認知理論およびオートポイエーシス理論を用いて,この変容過程をどう考察したかを紹介するところから始めたい。
蘭氏らは,「集団を管理運営していく立場にある担任教師にとっては,学級の構造や役割を明確にし,機能的に集団を運営していこうと考えるのは自然なことであるし,必要な作業でもある」としながらも,「その方策によっては,逆に学級集団を崩壊させる危険性も孕んでいる」と指摘している1)。実際に,集団を効果的に運営していこうとする教師の意図に反して,学級集団が集団として機能しなくなっていく例は少なくない。看護管理の現場でも,目標に向けて自部署を組織化し役割分担をして年度をスタートさせたにもかかわらず,思い描いたように展開していかないことがある。
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