連載 看護管理の現場を紐解く ミッションを共有し,ともに価値を創り出す組織を目指して・14
変わる自己,変わらない自己②
武村 雪絵
1
1東京大学医科学研究所附属病院
pp.428-432
発行日 2015年5月10日
Published Date 2015/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686200188
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教育学研究からのヒント
看護管理者の中には,自分の部署や組織を変えたいと悩んでいる方も多いだろう。しかし,集団を変えることはたやすいことではない。たとえば,管理者やスタッフの何人かが「このままではいけない」「新しいことに挑戦したい」と思っていても,積年の習慣や根強い職場風土に阻まれたり,影響力を持つスタッフが変わることを望んでいなかったりして,物事が思うように進まないことがある。努力しても部署に変化をもたらせない状況が続くと,やがて提案することさえ諦めるようになってしまう。こんなとき,管理者としてどう行動すればよいか。そのヒントを教育学分野の研究に求めたいと思う。
実は,学級運営についても同じような悩み,いや,もっと深刻な状況が報告されている。学級という集団は1年間,基本的にメンバーが入れ替わらないため,いじめや特定児童の排斥,階層化した人間関係など,一度ルールが形成されるとそれを変革することは難しい1)。しかし,それにもかかわらず,ドラスティックに変貌を遂げた学級事例もしばしば報告される。そのとき,そこで何が起きていたのか。それを知ることは,同じように悩む別の教師の学級運営の手がかりになる。そして,教師を看護管理者,生徒をスタッフに置き換えることで,看護管理の現場にも多くのヒントを与えてくれる。
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