連載 看護管理の現場を紐解く ミッションを共有し,ともに価値を創り出す組織を目指して・8
人間観の変遷とマネジメント論の変遷②—「社会的感情人としての人間」
武村 雪絵
1
1東京大学医科学研究所附属病院
pp.1066-1069
発行日 2014年11月10日
Published Date 2014/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686200035
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大学院生時代に50名弱を対象にインタビューを行い,膨大なデータの海の中で四苦八苦した経験がある私にとって,2万人を超える労働者にインタビューしたという研究プロジェクトにはただただ驚かされた。10月号で人間は経済的合理性に基づいて行動するという「合理的・機械的人間モデル」に基づく管理論として,テイラーの「科学的管理論」を紹介したが,この理論を検証する過程で,人間は感情や人間関係に左右されて行動するという「感情的・社会的人間モデル」へと管理論を大きく転換させたのが同研究プロジェクトのリーダー,エルトン・メイヨー(1880-1949)である。10月号985ページに示した図でいうと,リーダー①からリーダー②への転換に該当する。
しかし,メイヨーの功績を紹介する前に,テイラーの時代以降の社会背景の変化を説明しておきたい。そのため,ガソリン式自動車の大量生産でアメリカ社会に大きな影響を与えたヘンリー・フォード(1863-1947)についてまず紹介したい。
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