ファンタジーはいのちの福音書

　ファンタジックな物語の絵本のなかには，作者による創作なのだが，土着の民族あるいは原住民に伝わる神話的な物語の展開になっている作品がある。これまで何度も紹介してきたアイヌの物語は，すべての生きものに神が宿る，言い換えるならいのちあるものはみなつながっているという思想が根底になっているのだが，欧米やアジアの国々の最近の創作絵本のなかにも，そういう神話的な作品が少なくない。

　そうした絵本のファンタジーは，単なる空想の世界ではなく，絵の表現力にもよるのだろうが，強いリアリティをもって迫ってくる力がある。