連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・130
ファンタジーはグリーフワークの神髄
柳田 邦男
pp.332-333
発行日 2017年4月10日
Published Date 2017/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686200687
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絵本の物語に,おばあちゃんやおじいちゃんがお母さんやお父さんに負けないくらい登場し,タイトルにも書き込まれるのは,なぜだろうか。答は簡単だ。おばあちゃん,おじいちゃんは,育児に親ほど責任を負うわけではないし,時間的にもゆとりがあるので,遊び相手や散歩の相手になって,楽しい時間を過ごしていればいい。孫は可愛いねえと言って,楽しんでいればいい。子どもにしてみれば,おばあちゃんもおじいちゃんも「大好き」ということになる。子どもにとって,親から受けるストレスや保育園・幼稚園・小学校でのストレスから解放され癒されるのは,じじ,ばばの存在かもしれない。
それだけに,おばあちゃんやおじいちゃんが亡くなると,子どもは子どもなりにショックを受け,心の中にぽっかりと空いた空白をどう埋めたらよいのかわからずに,淋しい日々を過ごすことになる。そういう子どものグリーフケアやグリーフワークをテーマにした絵本は,最近多くなっており,この欄でも何度かそういう絵本を紹介してきた。
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