特集1 病院の倫理リーダー養成講座
―第3講―問題を解決するツール―直観的思考から4分割法を用いた倫理的検討法
水澤 久恵
1
1西武文理大学看護学部
pp.26-33
発行日 2013年1月10日
Published Date 2013/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686102664
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
倫理的問題への遭遇
私は基礎看護教育を終えて,東海大学医学部付属病院に看護師として就職をしたばかりのころに,隣の病棟で東海大学安楽死事件が起きました。玄関に報道陣がたくさん来ていたことを今でも思い出します。また,その病棟で働いていた職員にもいろいろなことがあり,忙しくてスタッフが疲弊しているような状況だったと記憶しています。
私が新人だった20年前ごろは,身体抑制といった問題では,どの施設でも患者さんの安全を守るためにベッドの柵に抑制帯で手足を固定することが当たり前のように行なわれていた時代でした。そのような対応を受けた患者さんは「看護師さん,看護師さん,助けてください。ごめんなさい。許してください」と,私に訴えかけてきました。そのときに私は,言いようもない罪悪感を感じ,居たたまれない思いを抱きながら仕事をしていた記憶があります。
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.